目次
はじめに
大阪の万博記念公園で開催された電動オフロードバイクの世界大会を観戦してきました。
去年からスタートしたばかりのこの大会、オフロードバイクが好きな自分は
開催前から情報を追っていて、去年はYoutubeで観戦していました。
今年から2年目となり、その開幕戦がなんと日本の大阪ということでしたが、
まさかこんな近くで開催されるとは思ってもなかったので、
速攻チケット予約して楽しみにしていました。
FIM E-xplorer World Cupとは?どんなバイクレース?
FIM E-xplorer World Cupは2023年から始まった
電動オフロードバイクを使用した国際大会のレースです。
主な特徴はガソリンエンジンを使用しない
電動のオフロードバイクを使用したレースとなっていることですが、
他の特徴としては参加するチームに男女2人のライダーが参加することも特徴的な点です。
この新しい時代のレースは環境への配慮をして、
電動モータースポーツの需要の高まりを活用しつつ、
最新の二輪技術の実験場としても機能するような期待が込められているそうです。
E-xplorerのルール
レースは練習走行、予選、決勝の順に実施されます。
走行は男女別でそれぞれ行われます。
最大14チームまで参加することが可能です。
去年までのレースをYoutubeで観ていたところ、2台ずつの走行でしたが、
今年からはモトクロスのような一斉にスタートするスタイルになったようです。
予選走行で走行タイムの最速ラップの計測を行い、クラス分けが行われ
予選上位のライダーからスタートグリッドの位置を決める事ができます。
決勝レースは3レース行なわれ、8分+1週のレースを3回行い、
男女それぞれが獲得したポイントによってチームの順位が決定します。
日本語で詳細に解説しているサイトなどは、まだ見つからなかったので、
現場での実況を参考にしていたり、FIMの英文のルールを完全に読み込んで理解した訳ではないので
間違っていたらすみません。
詳しくはFIMのサイトで英文のレギュレーションがPDFで読めるので、
そこで確認してみてください!
マシンのレギュレーションによるクラス分け
E-xplorerで使用されるマシンには2つのクラス分けがあります。
実況でも話していたのを聞いてネットで調べてみると公開されていました。
マシンには2つのクラスがあります。
ハイパーバイク-スペック(プロトタイプ)と
GT-スペック(量産車ベース)
という2つの車両クラスに分けられます。
(出展: MFJ | 2024 FIM E-Xplorer World Cup 技術規則について)
FIM E-xplorer公式テクニカルレギュレーションPDF
まずハイパーバイクスペックですが、
- CAN BUSを採用
- バッテリー容量6Kwh以下
- Power制限なし
- フロントタイヤ21インチ
- リアタイヤ19もしくは18インチ
- 重量113kg以下
- ホイールベース1470mm以下
となっています。
そしてGTスペックですが
- CAN BUS(2025年から)
- バッテリー容量5Kwh以下
- Power制限なし
- フロントタイヤ21インチもしくは19インチ
- リヤタイヤ19インチもしくは18インチ
- 重量85kg~112kg
- ホイールベース1325mm~1430mm
とこのようにバイクのクラス分けがあるようですが、
レース自体はこの2つのクラスのバイクが同時にスタートしています。
個人的に車両のレギュレーションを見てわからない部分があったので調べてみました。
まずCAN BUSというもの。
これは、CAN(Controller Area Network)
車両や工業機器内の多数のマイクロコントローラーが
情報を共有できるように設計された通信システムです。
各デバイスは、一つの共有データバスを介してメッセージを送受信し、
複数の部品を効率的に接続します。
これにより、配線が少なくて済み、システム全体がより信頼性が高くなります。
主に自動車で使用され、エンジン管理や安全システムなどをコントロールします。
要はこういった信頼されたシステムを採用しましょうといった感じでしょうか?
次に気になったのはバッテリー容量です。
普段電気自動車などに乗ることがない場合、
馴染みがない単位に感じてしまうのではないでしょうか?
身近なモバイルバッテリーやスマホ、PCのバッテリー容量はmAhですしね。
そこで電気自動車のバッテリー容量と比較すると
なんとなくこんな感じなんだな〜と思えるのではないでしょうか?
軽自動車の日産サクラ(航続距離180km)のバッテリー容量は20Kwh、
SUVの日産アリア(航続距離470km)は66Kwhのバッテリーを搭載しています。
ガソリンエンジンの車とバイクを比較するとしたら、
燃料タンクの大きさもこのような程度の違いになるのではないでしょうか?
Power(出力)制限なしと書いてあるのも面白い点だと思います。
大阪大会に参加チームとバイク
開幕戦の大阪大会は全8チームの参加でした。
(出展:FIM E-xplorer)
今年日本からHRCがシリーズを通して参戦します。
マシンは去年、全日本モトクロスでスポット参戦した
電動モトクロスバイクCR ELECTRIC PROTOです。
E-xplorerではワイルドカード(特別参加枠)が6チーム分設けられていて、
最大3チームが開催国のチームに当てられるようです。
その枠から大阪のチーム「CAOFEN with VIVOUAC OSAKA」が参加しました。
マシンはチーム名にもあるようにCAOFEN FXでの参加です。
他にもアメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、インドからのチームが参加していました。
個人的に気になったのはインドのINDEレーシングの皆さんの応援が
熱くて盛り上がって目立ってました笑
あの一致団結して応援してる感じ、結構好きです。
参加マシンは先程紹介した2車種以外はSurRon、KTM、STARKとなっています。
SurRonは日本でも購入可能モデルがありますが、
市販モデルとは全く違ったレース専用車になっているのでしょうか?
ベースがどのモデルか定かではありませんが、Light Bee Xをカスタムしたものでしょうか?
(出典:surron)
KTMは恐らくFREERIDE E-XCというモデル
(出典:KTM )
KTM freerideというエンデューロレーサーとトライアルバイクの中間
とよく言われているモデルの電動バージョンですね。
昔から雑誌や海外の動画ではよく見たことがあるモデルで、
エンジン車は実際に何度か見たことはありましたが、
電動のfreerideを見たのは、この大会が初めてでした。
STARはVARGというモデル
(出典:STARK)
スペインのバルセロナ近くに拠点を置くメーカー
去年くらいから海外のYoutuberが試乗動画をアップしたりしていて気になっていたモデルです。
Youtubeチャンネルでも発信していて、バイクの紹介やエンデューロへの挑戦の様子も伺えます。
KTMのE-XC、Starkどちらも日本ではまだ展開していないようで、日本語での情報はまだまだ少ないです。
海外サイトや海外Youtubeのインプレなど、英語での情報を読んでいくしかなさそうですね。
個人的にはレースに対して、どういったマシンセッティングやカスタムしているか、などの詳細な情報を見てみたいです。
まだまだ始まったばかりのレースなので今後が楽しみです。
レースで気になった選手とマシンの性能差
レースの様子はYoutubeでも公開しているので、動画でみてもらえると分かりやすいと思います。
特に個人的に気になったのはマシンとチームは
Robbie Maddison RacingのSTARKに乗るJorge Zaragoza選手と
HRCのCR ELECTRIC PROTOに乗るTosha Schareina選手。
どちらもスペイン出身の選手
Tosha Schareinaはスペインのバレンシア出身のオフロードバイクレーサーです。
彼はモトクロスからエンデューロに転向し、その後ラリー競技に参加しました。
ダカールラリーでの素晴らしい成績を含め、数々のラリー競技で成功を収めています。
特に、2020年のアンダルシアラリーで優勝し、ダカールラリーに直接参加する資格を得ました。
2021年のダカールラリーではバイク部門で13位に入り、最優秀新人の2位となりました
Jorge Zaragozaはスペイン出身のモトクロスレーサーで、国際レベルで競技しています。
彼は2022年のスペインGPで21位に入りました。
彼の主な競技はモトクロスで、過去にはMXGPなどの大会にも参加しています。
2022年にはイタリアで16位、トレンティーノで20位、ロンバルディアで24位になりました。
2019年にはチェコ共和国で29位になり、他の多くの国際大会にも参加しています。
個人的にこの二人の走りは目立っていたように感じました。
素人から見ていてかっこいい走りをしていましたね!
レースを観ているとやはりマシンの性能差が明らかに違っているのが分かりました。
個人的な感覚では
CR ELECTRIC ≒ STARK> KTM > SurRon ≒ CAOFENといったところでしょうか?
ハイパーバイクとGTいうクラス分けもある通り、
このあたりの差はフープスの通過スピードやジャンプを観ていても差を感じる部分ではありました。
市販車ベースのGTスペックの車両はサスペンションなどの性能差も、
ハイパーバイクと大きな違いがあるのではないでしょうか。
しかしレース展開は転倒やマシントラブル、選手のスキルなど総合的に決まるものだと思うので、
GTスペックの車両がハイパーバイクスペックの車両よりも上位を走っている場面もあり、
違ったクラスのバイクが混走しているのも面白い点だと感じました。
大阪大会の全体的な感想
私は愛知から観戦に行きましたが、大阪出身ということもあり
万博記念公園にも行ったことがあるので、
万博公園のなかでどこで開催されるのか気になっていました。
開催場所はお祭り広場という場所で、スタンド席で観戦したのですが、
全体的にコース全体を見渡せる感じの場所でした。
観戦に慣れている他の方はクッションなどを持ってきていたのですが、
自分はなにも持っていなくて、お尻が痛くなってしまったので、
次回があればクッションを用意していこうと思います。
スタンド両側の芝生エリアはやや傾斜がついていて、芝生エリアでも観戦はしやすそうでした。
ここでシートを広げて座ったり、キャンプ用の椅子をもってきて
観戦している方もいらっしゃいました。
バイクのエンジン音がないので、DJが音楽やBGMで盛り上げているスタイルも良かったと思います。
また解説や実況の声が会場全体で聞きやすく、
バイクやレースに詳しく無い方でも楽しめる環境だったのではないでしょうか?
お祭り広場というイベント会場での開催ということで、
このスペースだけでオフロードバイクレースが開催されるというのが斬新だと思いました。
郊外のモトクロスやエンデューロと違い、観戦客の集客という点では、
これまでとは違ったスタイルのバイクレースになるのではないでしょうか?
人気がでれば海外のレースのように、スタジアムやドームでの開催も可能?
また万博記念公園は高速道路が近くを通っていますし、駐車場の数もかなり多いです。
また公共交通機関でのアクセスも容易なので、立地的には最高なのではないでしょうか?
また隣の広場ではグルメフェスが開催されていて、
チケット購入者には引き換え券が1枚ついてきていたので、
お昼時間に大阪名物を楽しむことができました。
またキッチンカーのフードエリアなどもあり、
バイクに興味がない家族やカップルでも楽しめる空間だったのではないでしょうか?
また電動バイクのGowowとSurRonの電動バイク展示コーナーがありました。
Gowowは子供向けに試乗体験も行っていたようです。
HRCのブースでは電気自動車Honda eからの電気を
一般の家電を使えるようにした外部給電のシステムを利用したカフェを展開していました。
HRCのインスタをフォローしたら1杯コーヒー無料だったので、いただきました!
午後からはフラッグ持ってHRCを応援しました笑
終わりに
レースを見に行く前はエンジン音もないし、去年の映像を見る限り、
迫力もないのかなーと正直あまり期待はしていなかったんですが、
良い意味で期待を裏切られた感じでした。
バイクの性能にも驚きましたし、レースの魅せ方であったり、
イベント全体のちょっとしたお祭り感であったりと、とても楽しむ事ができました。
E-xplorerは男女ペアのチーム、電動バイクを使ったレース、
これからの電動バイクの技術研究などSDGsのテーマとの関連性も非常に高く、
こういった大会に協力する自治体や企業としても応援しやすいレースなのかなと、
素人ながらに感じた大会でした。
吉村知事が来ていたりと、いろんな方々が協力して関わっているんだなーと感じた大会です。
電動バイクという新しいジャンルですが、バイクに関係している人だけじゃなく、
いろんな分野でプラスになっていけるといいですね。